大小さまざまな都市の地下鉄は、世界中の何十億人もの通勤者に毎日鉄道とバスサービスを提供しています。鉄道サービスには、数百もの牽引変電所,遮断器,変圧器,整流器,保護継電器への監視と保守が必要です。鉄道インフラでは、電圧,電流,温度など、多くのパラメータを測定する必要があります。ある地下鉄の場合、膨大な数のチャネルを既存の計測システムで計測することができませんでした。この課題を解決するため、鉄道データ収録と⾼電圧計測システムをマッチさせた事例を紹介します。
課題
地下鉄は牽引電⼒変電所とタイブレーカーステーション(牽引電⼒設備,⾼速遮断器,変圧器,整流器,保護継電器を含む)において、電圧,電流,温度を監視する必要があります。電⾞の監視,電圧・電流の監視、そして変電所の設備監視は相互に関連する重要な業務であり、⾼絶縁型のデータロガーと⾼電圧トランスデューサが不可⽋です。地下鉄のエンジニアは、この二つの事象を同時にデータを監視できる分散型システムの必要としていました。
地下鉄の⾞両は電気式であるため、⾼電圧と⾼電流の監視は不可⽋です。このデータは安全に取得する必要があるため、ハードウェアには十分な電気的絶縁が必要です。また、測定値は⾼精度で、迅速に利⽤できる必要があります。これらの電気量が変電所設備の性能にどのように影響するかを理解することが必要だからです。
短絡などの潜在的に危険な事象は、トランスデューサーと⾼速遮断器との通信を通して迅速に特定し、対処することができます。 安全性,速度,精度は、鉄道システムの様々な運転状況で発⽣する⾼速過渡現象を記録する上で重要な役割を果たします。
変圧器と整流器は交流電⼒網から電⼒を変換し、鉄道システムに供給します。温度上昇は電気接続の緩み,摩耗、または故障を⽰している可能性があるため、主要な測定ポイントでの監視が不可⽋です。
正確な電圧,電流,温度監視により、地下鉄はサービス中断や安全上の問題が発⽣する前に問題に対処することができます。継続的な監視により、地下鉄は線路全体の健全性を把握できるだけでなく、貴重な履歴データも提供できるため、システム異常の根本原因を評価し、保守チームに線路状況を常に報告することでサービス中断を防⽌できます。
DEWESoft社はMetro のエンジニアに対して、堅牢なデータロガーKRYPTONを提案しました。
提案1:KRYPTON
KRYPTONは、防水/防塵性能 IP67準拠,動作温度範囲 -40〜85℃,耐衝撃性能 100gを兼ね備えた堅牢性能の⾼いデータロガーです。さらに小型であることから、地下鉄の計装キャビネットに容易に設置できます。
KRYPTONシリーズには、シングルチャネル モジュールとマルチチャネル モジュールがあります
KRYPTONモジュールは各チャネルにアンチエイリアシングフィルタを備えた24ビットADCを搭載しています。KRYPTONモジュールは
⾼い精度と帯域幅を提供します。絶縁性と業界標準のコネクタも重要な考慮事項でした。KRYPTONモジュールはEtherCATを介して相互接続されます。EtherCATはEthernetに似たインターフェースですが、DAQシステム向けに電⼒、信号、タイミングを1本のケーブルで伝送できるように設計されており、EtherCATプロトコルはチェーン上のすべてのモジュール間の時間同期を実現します。
KRYPTON 8xLAモジュールは20kHzのサンプリングレートを備え、すべてのアナログ⼊⼒に対してFFTと⾼調波解析を同時に実⾏できます。これらの機能に加え、カスタム数式やフィルタの作成、リアルタイム統計の計算機能も備えているため、Dewesoftは優れたソ リューションとなっています。
KRYPTONi 8xLAモジュール
KRYPTONi 16xDIモジュール
KRYPTON 16xDIモジュールのデジタル⼊⼒は、DCリレーのデジタル(オン/オフ)信号を監視,捕捉します。これらのデジタル信号は、ブレーカートリップイベントの前後に最大サンプルレートで記録を開始し、ピークを逃すことなく過渡的なスパイクを⾼精度で捕捉します。これらの⾼速記録は、故障の根本原因を特定し、再発防⽌策を地下鉄エンジニアに提供する上で非常に重要です。
KRYPTON概要
- 使⽤温度範囲 -40〜85℃
- 耐防塵,防滴 IP67, 65対応
- 耐振,耐衝撃 980m/s2以下
- ⼊⼒ 温度(熱電対/測温抵抗体),電圧,ひずみ,振動,電流,カウンタ,デジタル⼊出⼒ (DIO), CAN
- 最大サンプリング速度:20kHz/40kHz 熱電対および測温抵抗︓100Hz
- ⾼精度A/D 24ビット デルタシグマ方式/逐次比較方式
- EtherCAT®テクノロジ対応
ケーブル1本でデータ転送,電源,同期信号を供給ユニット間を最大50mの⻑さで接続可能
ディジーチェン接続によるユニット増設 - 耐環境型CPUユニット(KRYPTON CPU)をラインアップ
- 多チャネル対応マルチタイプとシングルタイプを混在可能
- ⾼速データロガーSIRIUSと同時計測

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提案2:DewesoftX電⼒解析
電⼒解析
DewesoftXは、すべてのDewesoft社のデータロガーに付属する標準ソフトウェアです。 ハードウェアセットアップ機能,カスタマイズ可能な表⽰画面,連続またはトリガによる計測開始、そして豊富な演算エンジンを備えています。DewesoftXは特殊な機能を実
⾏するための拡張機能を備えた多数のオプションソフトも準備されています。
地下鉄ではリアルタイムの電⼒解析が求められていたため、有効電⼒,無効電⼒,⽪相電⼒といった電⼒効率解析が必要なめ、 DewesoftX 電⼒解析を提案しました。 DewesoftXは、電圧,電流,電⼒を⾒やすくカスタマイズ可能なユーザインタフェース で表⽰します。クラシックなベクトル表⽰などの専⽤のビジュアルウィジェットも搭載されており、計算されたすべての値は、ユーザが認識しやすいディスプレイ画面に設定でき、リアルタイムで表⽰されます。
DewesoftX電⼒品質表⽰例
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DewesoftX OPT-NET(ネットワークソフト)
収録したデータに簡単にアクセスできなければ、データを有効活⽤できません。地下鉄の支線駅と分岐駅は広範囲に分散しているため、リモートデータアクセスは不可⽋です。
DewesoftXソフトウェアにオプションソフトOPT-NETを組み合わせることで、リモートデータの表⽰と制御が可能になります。この機能により、地下鉄事業者は各システムに容易にアクセスし、ローカルネットワーク経由でリアルタイムデータを表⽰できます。地下鉄事業者のエンジニアは、オフィス内のコンピュータからネットワークに接続された任意のステーションにアクセスできます。記録を中断することな くデータを確認し、システムをリモート制御できます。
DewesoftXOPT-NETトポロジでは、単一のクライアントで複数のDAQユニットを表⽰および制御することも、
複数のクライアントで単一のユニットを表⽰および制御することもできます。
提案3:ポータブルデータロガーSIRIUS
地下鉄のエンジニアは、現場でスポットチェックを実施するために、持ち運びが容易な計測器を必要としていました。これらの⽤途に SIRIUSシリーズが選ばれました。
要件を検討した結果、SIRIUS-HS(⾼速)モジュール2台と、ソフトウェアの実⾏とデータの保存に⾼性能PCユニットSBOXeを採⽤しました。SIRIUSの8つの⾼電圧⼊⼒は、トランスデューサーなしで最大±1600Vまでサポートし、8つの低電圧⼊⼒はクランプまたはシャントを使⽤して電流測定に使⽤できます。すべての⼊⼒は、最大1MS/sで同時にサンプリングされます。
SIRIUSは、堅牢なPCユニットSBOXeに接続され、データの処理と保存を⾏います。
SBOXは標準的なモニタに接続でき、キーボード、マウス⽤のポートも備えています。
DEWESoftのDAQ機器シリーズはすべて相互運⽤可能です。SIRIUS,KRYPTONの他、IOLITE,OBSIDIANにも相互接続できるため、地下鉄への投資は費⽤対効果が⾼く実⽤的です。
2000年代初頭以来、DEWESoft計測システムの特徴の一つは、ビデオとアナログおよびデジタルセンサの統合です。ビデオは、特定の⽤途において非常に貴重な視覚情報を提供します。地下鉄駅では、最大640フレーム/秒のビデオ録画を実現するために、同期可能なDS-CAM-640Cカメラを選択しました。ビデオとセンサデータは、録画中および録画後に同じ画面に表⽰されます。
同期ビデオ録画機能を備えた DewesoftX ソフトウェアの例
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提案4:Knick社製トランスデューサ
地下鉄の電気仕様には、トランスデューサの性能要件が包括的に規定されています。これには、永続的に⾼電圧に耐えるため最低2.2kVの連続絶縁、および⾼速過渡現象に対する保護のために10kVの試験電圧の要件が含まれています。過渡現象を正確に捕捉するには、測定値がトランスデューサの公称範囲の少なくとも200%まで直線性を⽰す必要があります。伝送速度に関しては、⼊⼒範囲の90%の変化を110マイクロ秒以内に出⼒(T90)に変換する必要があります。
Knick P41000 シリーズ トランスデューサを使⽤したテスト データは、公称範囲の2倍の直線性を有する
地下鉄エンジニアは、ニック社のP41000シリーズ電流トランスデューサとP42000シリーズ電圧トランスデューサを選択しました。これらのモデルは、プロジェクトの電気仕様を上回り、鉄道業界の厳しい⽤途におけるトランスデューサの標準として⻑年にわたり実績を積み重ねてきました。
これらのデバイスはコンパクトで、DINレールに取り付け可能です。⼊出⼒設定は柔軟で、ユニバーサル電源は20〜253V AC/DCに対応しています。⼊⼒,出⼒,および電源(3ポート)はガルバニック絶縁されており、最大3600V AC/DCの連続電圧保護を備えています。
P41000はシャント電圧を介して電流を測定します。公称⼊⼒は±50mVに設定されます。⾼性能シャントと組み合わせることで、最大25kA DCまでの電流を正確かつ安全に測定できます。
P42000電圧トランスデューサを使⽤することで、地下鉄は公称1000V DCの双極範囲を監視し、±2000V DCまでのシステム 外乱を検出する能⼒を備えていました。Knick社の⾼電圧トランスデューサは5kHzを超えるカットオフ周波数でデータを提供できるため、鉄道計測システムに大いに有効です。
KnickのP41000およびP42000シリーズ⾼電圧トランスデューサ
結果
地下鉄は、鉄道システムのアップグレードを実現するために、DEWESoftとKnickのソリューションに戦略的に投資しました。Knickトランスデューサのスケール出⼒は、DEWESoftのKRYPTONモジュールの⼊⼒と完全に適合します。これらの機器は、履歴
データとリアルタイムデータを収集・分析することで、地下鉄のエンジニアがより迅速かつ情報に基づいた意思決定を⾏うことを可能にします。また、予期せぬ配電システムの障害をリアルタイムで検知し、対応することも可能です。電⼒システムとその利⽤者の安全は、地下鉄にとって最優先事項です。
牽引電⼒設備の監視と保守は大きな課題です。しかし、これらのソリューションと地下鉄の鉄道エンジニアリングの専門知識を組み合わせることで、停電時間の削減,定時運⾏率の向上、そして効率性の向上が実現しました。これらの改善は、乗客の満⾜度向上におおいに貢献しました。
