データ集録(DAQ)システムとデータロガーは同じものの様に思えます。どちらもシグナルコンディショナ回路を備えていて、1つ以上のアナログ入力があり、アナログ信号をデジタルデータに変換して保存します。そして、汎用および特殊なデータ集録アプリケーションをカバーできる重要なDAQハードウェアを内蔵しています。

同じ観点から見ると、子供のおもちゃの車とテスラも同様に見えるでしょう。どちらも4つの車輪があり、どちらも乗客をある場所から別の場所に輸送するためのものです。

しかし、おもちゃの車と現代の電気自動車は実際には同じ役割ではありません。データロガーをDAQシステムと比較するには、機能とアプリケーションの両面を見ていく必要があります。

それでは、最初に相対的な機能を見て、次に一般的なアプリケーションを確認しましょう。

DAQシステムとは?

DAQシステムは、動的測定と静的測定の両方のアプリケーションで使用できるよう作成されているため、高速と低速の両方のサンプリングが可能です。DAQシステムは通常、内蔵または接続された高性能コンピューターが必要で、高度なシグナルコンデショナ機能も含まれているため、さまざまなセンサをシステムに接続できます。

DAQシステムは通常、数秒から数時間の短時間のテストに使用されます。この観点では、毎日さまざまなアプリケーションに使用されるという意味で、ベンチトップオシロスコープに似ています。

データロガーとは?

一方、データロガーは、通常、比較的遅い信号を測定するように設計されていますが、通常は数日、数週間、または数か月単位で測定します。これらは、長期間動作する固定位置にインストールされ、内部RAMまたはリムーバブルメモリデバイスにデータを書き込みます。

データロギングシステムは、電圧,電流,温度などの限られた入力と、他の少しのタイプの信号で構成されています。したがって、データロガーは文字通り「DAQデバイス」ですが、DAQシステムとして適切に分類することはできません。

機能比較

以下の表から、データロガーとDAQシステムには多くの違いがあることがわかります。これらの各基準について詳しく説明します。

  データロガー DAQシステム
サンプルレート 低速から中速 高速
入力タイプ いくつかのタイプに限定 非常に幅広いタイプ
チャネル数 通常は4~32
50~100以上の機器も有
通常は8~16
32~100以上のカスタマイズ
データストレージ 内蔵NVRAM 内蔵SSD
記録時間 長時間 短時間あるいは中時間
ユーザーインタフェース   通常は表示なし,基本的な数値を表示 非常に堅牢,広範なグラフィカル
ユーザーインタフェイス
リアルタイムモニタリング 一部可能 基本的に可能
電力システム 通常はバッテリ式 通常は外部AC / DC電源
費用 安価 高価

サンプルレートについて

データロガーは、非常に遅い信号で長期間に渡ってゆっくりと変化する温度のような条件のために設計されています。一部のデータロガーは、数日、数週間、または数カ月間発生しない可能性がある系統および短絡をモニタリングするように作られています。一般的なトップサンプルレートは、1 S / sからチャネルあたり100 S / sまでです。これが、比較的少ないオンボードストレージスペースで、そのような長期間にわたって記録できる理由です。

対照的に、DAQシステムは、数分またはおそらく数時間の比較的短時間のテストで使用されます。データロガーよりも、サンプルレートははるかに高速です。

DAQシステムの一般的な最大サンプルレートは、チャネルあたり100 kS / s,200 kS / s,さらには1 MS / sです。これはデータロガーよりも桁違いに速いので、短いテストでもより多くのデータが保存されます。また、高速サンプリングが可能なため、DAQシステムは衝撃や振動、加速試験などの動的試験アプリケーションで使用されます。

一部のシステム(DEWESoft製のDAQシステムなど)では、一部のチャネルを非常に高速サンプリングし、同時に他のチャネルは低速でサンプリングし、すべてのチャネルを同期させることができます。

加速度計などの動的センサからの両方の高速記録を含むテストを想像してください。ただし、多点で温度をモニタリングする必要もあります。50 kHzで加速度計をサンプリングする必要がありますが、10 Hzを超える温度でサンプリングする必要はありません。

ただし、ほとんどのDAQシステムは異なるサンプルレートで使用できないため、50 kHzで温度センサーをサンプリングせざるを得ないため、その結果、データファイルが不必要に大きくなります。DEWESoftシステムは、サンプルレートを個別に設定できるため不必要にデータが大きくなりません。さらに、ユーザは演算処理(Peak to Peak,平均,最大,または最小の値)を併用しデータを削減できます。

入力タイプについて

DATAQデータロガー-モデルDI-1110 ※画像はDATAQ Instruments提供

データロガーに組み込まれたシグナルコンディショナは、ハイエンドのDAQシステムと比較して簡易的です。 基本的な機能しか使用しないため、DAQシステムの幅広い機能は必要ありません。

同じ信号を何度も繰り返し記録するため、数週間または数か月間放置されます。いくつかの例外はありますが、これらは電圧,20 mA以下の電流,温度,湿度,パルス信号に限定されます。ネジ端子タイプのコネクタは、一度に数か月または数年使用し続けるため、信号接続を頻繁に変更せず使用されます。

一方、ほとんどのDAQシステムは柔軟な入力モジュール構成が用意され、ユーザーがこれらを採用して、下表のような幅広い入力タイプを処理できます。

  • 電圧
  • 電流
  • 圧力
  • ひずみ
  • 応力
  • 衝撃
  • 振動
  • 温度,よびデジタル信号 RPMセンサー,エンコーダ

これらの入力コネクタは、さまざまなアプリケーションで使用されるため、通常バナナコネクタ, BNC,LEMOコネクタなどの迅速に接続されるタイプです。

DAQシステムは、ほとんどのデータロガーの固定されたアプリケーションとは対照的に、毎日さまざまなアプリケーションや目的に使用されるという意味で、実験室のオシロスコープによく似ています。

そのため、データロガーとDAQシステムは基本的に同じタイプのデータを記録しますが、DAQシステムは全体的な機能の範囲がはるかに広くなっています。

チャネル数について

データロガーは、4~32の入力チャネルが一般的です。例外的に100以上のチャネルを入力できるモデルもあります。一般的な用途と比較すると少ないですがデータロガーアプリケーションで、多数のチャネルが必要な場合もあります。

DAQシステムも数チャネルから数百まで使用できますが、ほとんどのシステムは8~16チャネルで使用されます。これは、DAQシステムはシグナルコンディショナ部が長寿命であったり高価なため少なくなる傾向にあります。

データストレージについて

データロガーは通常、記録されたデータを内部のメモリに保存し、後で外部コンピュータにダウンロードして解析します。このメモリは、多くの場合、キロバイトまたはメガバイトの領域で計測されます(一部のデータロガーは、USBフラッシュメディアの使用できます。つまり、これらのシステムではGBストレージが可能です)。これは、データロガーのサンプルレートが低いためこの領域で問題有りません。16ビットの解像度で1 S / sで100チャネルを記録している場合でも(サンプルあたり2バイトが必要)、それは

100 * 1 * 2 = 200サンプル/秒
200 S * 3600 s = 1時間あたり720,000サンプル

DAQシステムは通常、データをGB(ギガバイト)またはTB(テラバイト)のストレージを提供するSSDに保存します。上記のデータロガーの例の1時間あたり720,000のサンプルを、24ビットの分解能で100 kS / sの8チャネルを記録する一般的なDAQシステムで比較します。

8 * 100,000 * 4 = 1秒あたり3,200,000サンプル
3,200,000 * 3600秒= 1時間あたり11,520,000,000サンプル

1時間の720,000サンプルと1時間の11,52億サンプルの間には非常に大きな違いがあります。

解析は多くの場合、オンボードで実行できます。または、データを外部システムにオフロードして、長期間の保存と解析を行うことができます。

記録時間について

前の比較で示したように、データロガーは比較的少量のNVRAMにゆっくりと記録しますが、DAQシステムはソリッドステート(SSD)や標準ハードドライブ(HDD)などの非常に大きなストレージデバイスに非常に速く記録します。

データロガーは、数日で測定される記録時間から、数週間または数か月で測定できるものまでさまざまです。DAQシステムは、GBおよびTB SSDストレージ容量であるため、サンプルレートがはるかに高いにもかかわらず、数日、数週間、場合によっては数か月間も保存できます。

ユーザーインタフェースについて

データロガーは通常、インタフェースをまったく提供しないか、簡便な数値表示で十分です。一度に数週間または数か月間記録をとっているので、DAQシステムを使用した短時間の高速テストの場合のように、一般的にはその時々の値を確認しません。

LCD数値ディスプレイを備えたデータロガー ※画像はExtech提供

一部のデータロガーにはWebまたはHTTPインタフェースが適用されているため、イーサネット経由でデータロガーに接続してWebブラウザでIPアドレスを呼び出すと、ユーザーは値を準リアルタイムでモニタリングできます。

計測するデータがどのように使用されるかによって 、DAQシステムは、非常に広範なグラフィカルユーザーインタフェースを有し、チャートの移動,棒グラフ,急速に更新される数値などのグラフィック要素が豊富です。下のビデオは、最新のDewesoft Xデータ収録ソフトウェア UIを紹介する資料で、高度なデータ視覚化およびカスタマイズ機能をDewesoftXはユーザに提供します。

ほとんどのデータロガーは、DASYLab®やLabVIEW®などのプログラミング環境用のドライバを提供します。 これらのツールを使用して、エンジニアはデータロガーハードウェアへの独自のソフトウェアインタフェースを作成できます。 一部のDAQメーカは、これらのプログラミングツールに同様のドライバを提供していますが、一方で独自のターンキーソフトウェアアプリケーション(完成品のソフトウェア)として付帯しているケースも増えています。

リアルタイムモニタリングについて

一部のデータロガーは、リアルタイムで測定されている数値を表示する内蔵LCDディスプレイで、リアルタイムモニタリング機能を使用できます。他のコンピュータは、有線またはWIFIインタフェースを利用して、別のコンピュータがリアルタイムでデータにアクセスできるようにします。データロガーとコンピュータを接続しない場合、テストが停止するまで待機する必要があります。

Dewesoft X DAQソフトウェアのグラフィカルインタフェース画面

一方、すべてのDAQシステムは、リアルタイムでデータをモニタリングするための何らかの表示 方法が用意されます。スタンドアロンのDAQシステムは、通常、高解像度のコンピュータディスプレイを備えていますが、USBまたはイーサネット経由で保存および処理するためにコンピュータにテザリングされているDAQシステムは、そのコンピュータ上でソフトウェアを実行します。記録後のデータのレビュー,解析,レポート生成として。

収録後、必要に応じてデータを再生,解析,印刷し他のシステムにエクスポートできます。

テスト後、データは通常、解析のために外部コンピューターにオフロードされます。一部のロガーは、有線または無線接続を介してリアルタイムの監視を可能にします。

電力システムについて

一般的なデータロガーは、バッテリー駆動の低電力電子機器です。低消費電力のため、ロガーの多くは外部電源なしで何時間も動作できます。ただし、長時間記録する必要があるものは、外部から電源を供給する必要があります。

処理負荷が高く、高速で動作するため、ほとんどのDAQシステムには外部ACまたはDC電源が必要です。バッテリー駆動システムを2〜3時間使用できるものもあります。

アプリケーションについて

一般的なデータロガーアプリケーション

  • 製造環境,保管施設,病院,およびその他の公共施設の温度と湿度レベルのモニタリング
  • 加工と輸送のすべての段階で食品の温度をモニタリング
  • 産業および商業施設のHVAC状態をモニタリング
  • 温室と農場の成長状況をモニタリング
  • 製造および保管中の医薬品の環境条件をモニタリング

一般的なDAQシステムアプリケーション

  • 自動車 -ブレーキテスト,通過騒音テスト,燃焼解析,エアバッグテスト,ダイナモおよびロードロードテスト,ひずみゲージテスト,ハイブリッド/電気エンジン開発,寒冷および高温試験
  • 音響とNVH- 騒音研究,衝撃,振動解析
  • 軍事 -弾道試験,ひずみゲージ試験
  • 航空宇宙 -アクチュエータ,ジェットエンジン,ロケットエンジン,油圧,制御システム,航空宇宙テレメトリの記録
  • 産業 -工場プロセスの監視とテスト,ロボット工学の開発
  • などその他多数

まとめ

データロガーとDAQシステムのアプリケーションは互いにまったく異なっていることがわかります。

DAQシステムは、比較的短期間で非常に高速に動作するように作られています。データロガーは、低速で長時間の記録を目的としています。 ユーザはアプリケーションによりどの計測器を選択すべきか検討が必要です。

数日、数週間、数カ月にわたる長期間の測定を行う場合、データロガーは通常、DAQシステムよりも適していて、確かに経済的です。しかし、非常に広範囲のセンサーや信号タイプから動的な測定や記録を行う必要がある場合はDAQシステムが唯一の選択肢です。